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やり竜7部、今後の更新スケジュールのお知らせ。

5/8まで毎日朝7:00更新
ただし5/4のみ朝7:00と夜19:00に2回更新となります。
以降は月水金の朝7:00更新予定。

※詳細(すべて5月の話です)※
3日→7話更新
4日→朝8話、夜9話更新
5日~8日まで→10~13話

14話以降は、月水金朝7:00更新予定(14話更新は10日になります)

#やり竜

お知らせ

正史執筆中。
ロレンスに今から入れる保険がなさそうだけどここまできたらやり遂げろと思う私は、悪を貫いた幻水2のルカがかっこいいと思った子どもです。
一番の推しは坊ちゃんだけど!!
カミラとジークの過去話をどう入れるかがちょっと難しいけどなんとかしようがんばれ自分。

#やり竜 #進捗

やり竜7部/第4話

こういうネタ、たまにはやらないといけない気になるのなんででしょうか。
以下は野暮な解説。


竜宿は移動目的の旅行者向けです。着想は登山者の皆さんが使う山小屋から。怪談ものとして読み始めたのに安曇潤平先生著『山の霊異記』がめちゃくちゃ参考になったことを書き添えておきます。あとゼルダの馬宿。あの世界、街がないうえ「ここどこ??」が発生しがちなので、馬宿見つけると人心地ついてめっちゃ安心する……特にラーヴェは竜が飛ぶ以上、陸地の街道以外にも空路らしき概念があるんだろうなと思って(あの山の上は飛びにくいとかそういうの)、街以外にも旅には宿泊施設がいるだろうと設定しました。
2巻冒頭帝都に帰ろうとしたときや、5巻冒頭で帝都→レールザッツ(あのとき国境越えは海路でいったはず)の移動で出てこなかったのは、旅路自体省略してたのもありますが(柚先生が絵で描いてくださったのめっちゃファンタジーっぽくて素敵だった!)、そもそも竜宿を使ってないからです。ハディスがジルを喜ばせたくて基本、街に泊まるようにしてたんじゃないかなあって(街にもちゃんと竜を預かる場所が普通にあります何せラーヴェ帝国なので)。
あとは削除してしまった気がするんですが、さっきも説明したように着想が山小屋なので、基本二段ベットで八人くらいで泊まる相部屋なんですよ。つまりハディスは野宿を選ぶ、おわかりいただけるだろうか。
何より竜宿は当然竜がいっぱいいるので、そこへ竜神と竜帝が現れると「コンサート会場横のホテルに推しも泊まりに来た」みたいな感じでそりゃあもう面倒ですよ絶対。なので近寄らないようにしてたんじゃないかなあと思ったり。ラーヴェ様がファンサで疲れちゃう。

そういうわけで今回はせっかくジルひとりで、しかも自分の騎竜ができた!って状況なので、ちょっと陛下が一緒だとできない旅行をしてもらいました。陛下がよく許したねって感じだけれど、マイネで行くことといいジルが希望したんでしょうね。そして陛下は基本、ジルの自由にさせてくれる。

「レールザッツでクレイトス女王と会談☆間に合わない?開戦かもね!」
「でも竜妃はひとりで竜に乗る旅はなんと初めて!」
「なお、竜妃の騎竜は訓練されてません!」
「その護衛をしろ」

命令された護衛団の方々の胃の状態が心配ですね!
フィンくん、最初は名無しのモブキャラだったんですが、書いたらけっこう喋る量があったので、ついでにジルの護衛代表で動いてもらおうとネームドに昇格しました。
フィンくん書くたびにミハリくんに思いを馳せてしまう。元気かなあ(彼は北方師団所属のまま頑張ってます)。

護衛団の胃痛はジルもわかってそうですが、それはそれこれはこれで、竜宿、へーこんなんなんだ!ってうっきうきで見て回ったり楽しんでるとは思います。
一階に洗濯場や炊事場、食堂の共用施設(あいてれば好きに使っていい)他には宿の主人一家の住まいがあって、二階が相部屋だらけの宿泊部屋。今回泊まった竜宿にはひとつだけ個室の宿泊部屋があるって設定ですが、そこはめっちゃお高い(ちなみにジルはみんなに頼むからと頭をさげられてその部屋に泊まってます)。
混んでる場合やお金を節約したいときは竜宿の敷地内で天幕を張ってもOK。天幕はって、食材自分持ちで炊事場使わせてもらって料理作れば一番安上がり。

ちなみに今回のジルの旅は、ジル・ジーク・カミラ・ロルフ含めて10人くらいの設定です。
文官とかはイゴールおじいちゃんがレールザッツで用意してくれてるので、ほんとにジルをレールザッツへ無事運ぶための少数精鋭部隊。
そもそも今回レールザッツが会談場所に選ばれたのは、クレイトスの窓口として一番でかいのと(ベイルブルグは二番手)、女王と渡り合うかつジルの補佐をするのに、三公の中でいちばんイゴールが適任と判断されたからです。ベイルブルグも今はリステアードがいるし候補としてはありなんですけど、やっぱり女王を迎えるとなると経験と格式がものを言う。
イゴールおじいちゃん、ものすごい大役(竜妃の補佐ということになってるけど実質クレイトスとやり取りするのは自分)なので、張り切って準備してると思います。

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ジル、陛下に再会したら「竜宿ってこんなんでしたよ!陛下知ってる?」って話すの楽しみにしてるんじゃないかな。
陛下知らないよ、たぶん。話してあげて。


#やり竜

小ネタ

陛下(竜帝)はひょいひょい前線に出すぎ問題。
リステアードが一番キレてそう。



戦記モノじゃないしぃ、大事なのはラブコメだしぃ…と色々言い訳して5巻まではやってきましたがさすがに三公まで味方につけたので苦しくなってまいりました。
溺愛でごまかせない皇帝の自覚!!


味方のいない1・2巻はしょうがないとは思ってます。半ば国を取り戻す作業なので自分が動くしかない。
3巻のパン屋さんあたりもまあまだ国を取り戻してない(自分で動かせる軍を陛下が持ってない)ので、陛下が動くのはしょうがない。でなきゃヴィッセルにやられっぱなしになりますし。
4巻で自らサーヴェル領にいったのは、建前はご実家に挨拶(戦争じゃない)・外交なのでアリです。リステアードと合流したあたりで書いたように、国内の安定を見せつけるためにハディス自らクレイトスにきた、という面もあったので。あと短編にもあったようにめちゃくちゃ陛下は準備していってる。三公も様子見かねて協力してるしね。クレイトスの空に竜飛ばすのも、ものすごい挑発行為。あのあとクレイトス世論荒れただろうな~と思ってます。ただ一連の流れは南国王の暴走という形にして「女神自ら守ります」のフェイリスへの譲位で押さえ込んだんじゃないかな。ジェラルド留学中(笑)とかで国内不安煽ってね。
5巻は最初が本当に事故なのできっかけはしょうがないんですが、ジルは帝都にハディスを帰すべきではあったと思います。ただ国内であったことと、今までのジルの経験上そばに置いておいたほうが安心、という判断も間違ってはいないような……いやでも私の中のリステアードが怒ってるのでやっぱ帝都に帰すべきだったかなあ。少なくとも放置するなら帰すべきだった(笑)その場合はルティーヤを始末しちゃったほうが楽じゃん~~な陛下と助けたいジルのルティーヤの生死をかけたチキンレースが始まります。
6巻はそういう話ではないのでいいとしますが、皇帝が自ら罠に引っかかりにいって犯人あぶりだしは駄目です。リステアードが聞いたら泡吹いてぶっ倒れる。いなくてよかったね。

ただ、転移が駄目だとは思うんですよ(笑)滅多にできる人間(特に長距離は)いないという設定なので、体調とか気にしなければぱっと行ってぱっと帰れちゃう陛下はちょっと距離感覚おかしい。たぶん竜帝全員フリーダムもそのせい。竜帝にとって国は自分のおうち感覚なのかもしれません。帝都は自分の部屋で、国境付近は玄関くらいの認識。
竜神ラーヴェ様からしてだいぶアクティブだったので(建国時は領土戦争で最前線で戦った)その辺の影響もあるかもしれません。
あとはガチで強いのがタチ悪い。
実は全竜帝、一度たりとも戦争で負けたことがない。竜妃も天剣も失ったあとの三百年前の竜帝でさえ負けなかったという全勝っぷり。それなんてチート???

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そんなわけで7巻の陛下のお留守番がどうなったのか、またお楽しみ頂ければと思います。
けっこう細かく、今までの積み重ねが感じられるように頑張ったので!
ジルについてくれた護衛とかね。

#やり竜

小ネタ

マイネシュテルクストゴルトフリューゲル、MeinestärkstgoldFlügel!!(呪文)



7部連載始まりました~~GWあけるまで朝7:00で毎日更新予定です。
マジカルテロ編、どうぞよろしくお願いします!

#やり竜

お知らせ

明日の7:00からやり竜7部、更新スタートします。
GWあけるまでは毎日更新予定です、よろしくお願いします!
本当、やっとここまでこれました。


7部には、ずっと仕込んでいたネタバレがようやく書けました。
まずここまで書けたことにお礼申し上げます。
というのも、打ち切られていたら書かないまま終わっていたかもしれないので……!

しかし、本当は6部で書くはずだったのに配分をミスって書けなくなり、余分に話が必要になったのは痛恨の極みでした。ネタバレのための舞台をもう一回作らないといけなくなり、辻褄合わせに「うっすらそういうのはあると思ってたけど、まあ書かないでしょ」と曖昧なままぶん投げていた色んな設定をきちっと書かなくてはいけなくなって地獄を見ました。年表作るのって作家の仕事かな!?(仕事です)
書き終わったあとはもう、「これでこの話、もう終わりでいいんでは!?」とか言い出してました。
大したネタバレではないんですけど、周囲まで巻きこんで取り扱いに注意してたので、肝心の私がミスるわけにはいかず……やっと肩の荷がおりました。

ネタバレに関して、いちばん尽力していただいたのはコミカライズを描いてくださった柚先生だと思います。
本当に有り難うございました。

そして、ここまで書く機会を与えてくださった読者の皆様に感謝を。
本当はアニメ化ブーストかかっている今のうちに最善で終わらせようとしてたんですけど、ここまできたら応援してくださる皆様や協力してくださってる柚先生を信じて、打ち切りをはねのけながら理想を目指して戦いたくなってきました。
つまり何巻で終わるかわからなくなってきちゃったんだな自分で!(笑)

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大人の事情はさておき、7部、まずはお楽しみいただければ幸いです!
大丈夫、ラブコメだって!(合言葉)


#やり竜

お知らせ,小ネタ

【リングフィットをやる竜帝夫妻】



「なんなの突然」
「魔王ご夫妻もやるんですよ、負けられません!」
「なんでまた」
「以前3日坊主で投げた作者が今回こそクリアすると頑張っていたところ23面まであると知ってネタにでもしてないとやってられないと企画したそうです」
「私情にもほどがない?」


「このドラ●って奴が悪者ですね!」
「そうかな~味方面してるリン●のほうがあやしいよ」
「え…」
「僕らを利用してるんだ…信用できない」
「陛下…任●堂様はそんなひどいゲーム作りませんよ」
「君はヨッ●ーを乗り捨てたことがないって言うの!?」
「それはプレイヤーが」
「僕は悪くない!」


「右! 左! みぎ! ひだり!」
「ジル…さっきからモモアゲアゲにその動き何」
「はい、蹴りを加えてます!」
「なんでアレンジするの!?」
「いいから陛下も一緒に、右! 左! とりゃ! そりゃ! 蹴り上げ! 回し蹴り! あれっ感知しない…」
「ちゃんとミ○リさんの言うこときいてあげて」


「リングアロー、姿勢がよくわかんないんだよね」
「狩りで弓を使う感じでやったらどうですか?」
「んーこう?」
「陛下かっこいい!」
「えっそうかな~」
「もう一回やってください!」
「え~」
「かっこいい~~!」
「ええぇ~~?」
「わたしの陛下がかっこいい~~!」
「そ、そうかな~~!?」


「陛下~このレモンの蜂蜜漬けおいしいです~!」
「摘まみ食いしない。水分とタオルはここに置いておくよ」
「はい! 今日もプレイしましょう!」
「待って、お風呂も焚いておくから。終わったら入って。服は全部洗濯ね」
「わたし、陛下と結婚してよかった~」
「そ、そんなこと言ったって…プロテイン入りの牛乳くらいしか用意しないから!」
「陛下大好き~~~~!」


「あー負けちゃいました! スムージー使えばよかったかな…」
「ボス戦以外は節約したほうがいいよ。敵の弱点とか攻撃範囲考えてスキルセットするほうが先」
「むー。でも、現実のわたしは負けてないですよ!」
「うん、でも画面の中のキャラが負けてるからね」
「ボスのドラ●だって、画面の中から出てきてくれればわたし、勝てると思うんですよ!」
「ゲームと現実の区別はつけようね」


「陛下~~プランク、姿勢を感知しません!」
「あー感知されるまでに体力使っちゃうよね」
「ちゃんとやってるのに…」
「そういうときは、太股のを外して、床に水平にするんだよ。はい、感知した」
「ずるでは…?」
「そんなことないよ。付け直して運動するんだし」
「え~でも…」
「そもそも僕のプランクを感知しないとか許されるわけないから…」
「ちゃ、ちゃんとやることが大事ですよね!」


「今日はお休みだから買い出しいくよ~ジル」
「はーい。わたしパフェ食べたいです」
「だめ。運動用のウェアいくつか買おう。帰ったら洗濯終わってるから、一緒に干そうね」
「はい! 陛下にまかせてたらばっちりですね」
「ほめてもパフェはだめ」
「甘いものは疲労回復にいいですよ。わたし、陛下と巨大パフェはんぶんこしたいな~」
「そ、そんなふうに言ってもだめ!」
「あーんってしたいな~」
「え…そ、そんなに~!?」
「したいな~あーん」
「な、なら…しょうがないかなっ」
「やったー!」


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#やり竜
2021年Twitter初出

小説

7部、ラストあたりの執筆BGM。



テンション上げるために選んだんですが、ラスボス戦みたいになってしまった。
ラブコメです(思い出したように)

#やり竜

小ネタ

『魔王と竜帝でチョコを作れと言われたので』



「クロスオーバーはこの間限りじゃなかったのか」
「今度はバレンタイン企画だそうだよ。僕と君で一緒にバレンタインのチョコを作ってみてほしいってリクエストがあったらしい」

 三角巾にきっちり髪を入れてまとめ、エプロンをつけて、ロリコンもといハディスが答える。

「君は作ったことないだろう、チョコ。だから僕が君に作り方を教えるよ」

 従者に三角巾とエプロンをつけられ髪もひとまとめにさせられて、突然厨房に放りこまれたクロードは、眉をひそめた。

「君が、僕に?」
「大丈夫だ、そんな顔しなくても。ジルが僕に頑張ってって言ってくれたから、ちゃんと食べられるものを教えるよ。それに、僕、嬉しいんだ」
「嬉しい?」
「こんなふうに誰かと一緒に作るなんて、友達みたいじゃないか」

 にこにこするハディスに、クロードは胡乱な眼差しを向ける。
 魔王の自分が言えた義理ではないが、すさまじく胡散臭い。

(バアルと作るほうがまだマシだ)

 とついうっかり思ってしまったのも悔しいので、そうかと頷くだけにとどめる。

「まあ、頼む。アイリーンに変なものを食べさせるわけにはいかない」
「うん、まかせてくれ。ということで、君の材料はこれ」

 そっとハディスが床から木箱を取り出した。中から出てきたのは包装されたチョコレートだった。板チョコだ。
 焦げ茶の包装紙部分には『m●iji』と書いてある。

「……」
「適当なサイズに折って、ボウルに入れて、違うボウルに熱湯を入れて、そこにチョコの入ったボウルを浮かせて、油と分離しないようゆっくりとかして、それをそこにある好きな型に入れて、冷蔵庫に冷やしておわり。食べられるものはできる」
「…………」
「最終手段としては、これをラッピングし直して渡せばいいと思う。じゃあ頑張って」
「実は教える気がまったくないな?」

 真顔で問うと、ふとハディスが目元を緩めた。

「僕、こういう台詞を他人に言える日がくると思ってなかったんだけど――君は顔がいいんだからチョコなんかどうでもよくない?」

 ハディスの得体の知れない笑みにつられたように、クロードの口角もあがる。

「言われ慣れた台詞だが、君に言われるとすさまじく腹が立つな。なんというか、お前が言えたことかという気分になった」
「僕には君ほどの卑猥さはないと思う」

 どこかで派手に雷が落ちたが、ハディスは気にする素振りもなくにこにこ笑ったままだ。
 この男、絶対ろくでもない。
 確信したクロードは、できるだけさわやかに問いかけた。

「ならあれか。君は可愛い系でも狙ってるのか、その全力で胡散臭い笑顔で」
「心外だな。僕はただのイケメンだよ」
「さすが、通報皇帝だの嫁だの中身が幼女だの言われているキャラは言うことが違うな」
「ははは、ヒロイン扱いされてヒーローに戻れない君からの忠告、痛み入るよ。サービスショットを求められて大変だね」
「三分クッ●ングのシルエットをつけたら笑いを取れそうな君には負ける」
「そんな話聞いてないよ、やる予定がどこに!?」
「そして最終的には必ず君も全裸にさせられるんだ……! 僕なんてコミカライズでも全裸になったんだぞ!」
「――この話、やめないか?」

 眉をひそめたハディスに、クロードも遠い目になる。

「そうだな」
「真面目な話、君はほとんど料理をしたことがないんだろう。なら、市販のチョコを湯煎して溶かすだけでも立派な手作りだ。テンパリングだって初めてだろう? 大半の女の子の手作りだって、市販のチョコを使ってアレンジしてるんだし」

 その言葉に嘘はなさそうだったので、クロードは『m●iji』と書かれた板チョコを手に取って嘆息する。

「まあ、それもそうか。じゃあ君も使うのか、これ?」
「僕はカカオから作るよ? お嫁さんにあげるんだぞ。手抜きなんてできない」
「……」
「再来年くらいは僕が栽培したカカオ豆で作ったチョコをジルにあげたい」

 それはさすがにちょっと引くと思ったが、ハディスは真剣である。
 馬鹿にするにも、ハディスは一回り近く年下なのだ。邪魔するのも大人げないと、クロードは引き下がることにした。

「わかった。頑張るといい。僕とアイリーンはもう身も心も夫婦だ。続編でまた引っかき回されるだろう君達と違って平和な未来しかない」
「なんだ君、知らないのか」
「何をだ?」
「ちょうど今、作者がとりあえずプロットとかいうのを作ろうとして」

 なんのなどと愚問は聞かずに、クロードは転移した。



 熱湯をぶっかけられてチョコ水と化したものを見せられて、アイリーンは方針転換を決意した。

「ジル様。うちのオベロン商会からバレンタイン商品は多数出ておりますわ。そこで選びましょう!」
「やっぱりそうなりますよね……」
「手作りじゃないの?なんていう男性などぶん殴って更生すべきです!」
「でも陛下は本気の手作りを持ってくるから、少しくらいわたしも……」
「なら余計、うちの商品を召し上がっていただくのはいい案ですわよ。ぜひハディス様のご意見も伺いたいですし、ハディス様の今後のお菓子作りも役立てると思いますの!」
「た、確かに。陛下も喜びそう……」
「アイリーン!!」

 突如としてわって入った夫の声に、アイリーンは目をまばたく。
 本日はバレンタイン企画。メインはヒーローふたりのチョコ作りである。その裏で、アイリーンはバレンタインくらいハディスにチョコを贈りたい、というジルの相談にのっていたのだが。

「どうなさいましたの、クロード様」
「ひょっとして陛下に何かありましたか!?」
「いや違う。違うんだが、逃げようアイリーン」
「はい?」

 首をかしげている間に横に抱きあげられた。ジルの前だ。少女のきょとんとした眼差しがいたたまれず、アイリーンは赤くなる。

「ちょっとクロード様! ジル様の前で、はしたない」
「ついうっかりクロスオーバーとか言って、現在進行形で本編があるところと関わったのが間違いだった」
「いったいなんの話ですの。落ち着いて説明してくださいな」
「作者がプロットを作ろうとしているらしい」
「逃げましょう!」

 なんのかを聞きたくないアイリーンは即断する。

「ジル様、失礼致しますわね! どうかお幸せに!」
「えっあ、はい……?」
「バレンタインのチョコは買ったほうがよろしいですわよ!」

 その忠告だけは忘れずに届ける。頷いたジルにほっとして、アイリーンは夫の転移に身を任せた。



 なんだったんだろう。首をかしげたジルの背後から、影が差す。

「陛下!」
「あっちは帰ったのか?」
「みたいです。なんだったんでしょう……?」
「続編が嫌なんじゃないか」

 そういうものか。曖昧に頷いたジルを、ハディスが片腕で抱きあげる。

「君は嫌じゃないのか?」
「嫌じゃないですよ。わたしは陛下をいっぱいしあわせにしなきゃいけないんですから!」

 胸をはったジルはたくましいお嫁さんだ。

(だがあの嫌がりよう。相当面倒なことばかりこなしてきたんだろうな……)

 そう思うと先が思いやられる。だがハディスは微笑んだ。

「じゃあ僕は頑張って君にチョコレートを作らないとな」

 ぱっと顔を輝かせたジルが成長するのにも、続編がいる。
 なのでハディスは立ち向かうしかないのだ。


(終)

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#悪ラス #やり竜
2020年プライベッター初出
バレンタイン企画クロスオーバーSS

小説



『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中・7部マジカルテロ4/26から連載開始予定です。


副題(?)どおり、マジカル☆な感じの可愛いラブコメに仕上がりました。安心安全にお楽しみ頂けます。
たとえ担当さんが「そろそろかっこいいジルの表紙に……」とか言い出しても私はラブコメを諦めない。
しいてラブコメとしてどうかと思う点をあげるなら、もう序盤からずーーーーっとジルが戦ってることですかね……。執筆中は頭抱えすぎて記憶が曖昧ですけれど、「ここから敵が入れる保険はありませんか……」とか言ってました。マジカルで解決した。竜帝夫婦、強さのインフレバトルに突入しつつある。
なお、この間「やり竜、ハッピーエンドだと思ってたけど違うのでは?」と突然気づいたときから、ラーヴェ様が今から入れる保険を一応探してるけど、見つかりません。

でもハディスとジルが結婚していずれ子だくさんになればハッピーエンドって読者さんが言ったのでやり竜はハッピーエンドです。

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#やり竜

制作メモ


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