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Wabeboxのお返事、ついXにもポストしちゃうけどよく考えたら残るのはこっちなわけで…しかしお知らせとしてはXポストの方が優秀…?と悩む日々です。

#やり竜

小ネタ

『竜神様の子育て』



「ラーヴェ、お肉って叩くと柔らかくなっておいしくなるんだって」

 ある日、物置から引っ張り出した料理本を見ていたハディスがそんなことを言い出した。
 暖炉の前でごろごろしていたラーヴェは、ふうんと適当に相づちを返す。

「でも、叩く道具がなくって。重いのはぼく、大変だし……」
「んーまだなあ、あぶないからなあ」

 辺境に送られて早一年がすぎた。それでもハディスはまだ六歳になったばかりの子どもだ。身の裡に宿る巨大な魔力の制御はまだまだあぶなっかしく、本人の体調も考えればあまり使わせたくない。

「食えないわけじゃねーなら、多少固くてもいいだろ」

 工夫し改良を続けてここの暮らしにも慣れてきた。気を張り詰めねばならなかった帝城に比べれば、精神的には快適になったと言ってもいい。贅沢は言わず、危険より安全をとるべきである。

「でも、おいしいって。やってみたい」

 怖い母親もいじめっ子のきょうだいもいなくなった安心感からか、ずいぶんハディスは自己主張をするようになってきた。
 ラーヴェに対してはもともとわがままじみたところはあったが、今はラーヴェしかいないせいで、本当にわがままになってきている気がするのが悩みの種だ。挑戦と無謀、向上心とわがまま、どこまで許容するのが正解なのかわからない。子育とはかくも難解なものである。

「やりたいっつってもなあ……」
「あのね、ぼく、考えたんだ! 天剣で叩けばいいんじゃないかって」
「は?」
「ほら、天剣って平べったいでしょ」
「ひ、ひらべった……?」
「軽いし!」

 それはハディスが天剣の正統な使い手なのだから当然――とかそういう問題じゃない。

「天剣に変わってよ、ラーヴェ。鹿肉まだ残ってるから!」
「はーーーーーーーーーー!? おま、おまっ天剣をなんだと! 薪割りだけでも許せないっつーのに肉を叩けと!?」
「こないだラーヴェも林檎切ってたでしょ」
「あれっあれはっ……面倒だったからついだ! 本意じゃない!」
「そこ、違いあるのかなあ……おいしいお肉、ラーヴェも食べたくない?」
「そら食いたいが!? 食いたいがなあ」
「これも工夫だよ!」

 絶句した理の神に、名案とばかりにハディスが笑顔で告げる。子どもはいつだって残酷だ。


■■■


 竜神ラーヴェ、地上に降りて早千年。
 度重なる争いにより神格を落とし、姿も変わってしまった。けれどこの大陸の理を守るため幾度となく目覚め、人々を見守ってきた――その果てが、まさかの肉叩き。
 ちなみに天剣とは神の力を顕現させる神器であり、膨大な魔力が要求されるため普通の人間では扱えず、正統な使い手である竜帝ただひとりがその真の威力を発揮できる。

「せえのっ!」

 その天剣が今、正統な持ち主により、鹿肉に向けて振り下ろされた。
 ばん、ばん、と肉を叩く音を聞きながら、ラーヴェは泣きたくなる。

『なんでっ俺がっこんな目にっ』
「ラーヴェ、ちゃんと力こめて!」
『力ってなんだ、魔力か!? どういう状態これ!?』
「重くなって! そう、そのくらい! えいっ! やあっ!」

 銀の粒をまく天の剣を真剣に、だが軽々と持ち上げるハディスの姿は、幼くともまさに竜帝――とか感動できるわけもなく。

「これくらい……かな……!?」

 肉の叩き具合を確かめているハディスの横で、半泣きでラーヴェは天剣の姿を解いた。気のせいだろうか、肉の匂いが付いた気がする。

「天剣……天剣をなんだと……これだから人間は!」
「わーい、できたよラーヴェ! 今日はおいしいお肉だ!」
「そうかよよかったな! 俺は千三百年も竜神やっててこんな屈辱初めてだよ!」

 生まれたときから一緒にいるハディスは、竜神の怒りに動じもしない。塩をかけようなどと張り切っている。

「ラーヴェはケチなんだよ」

 しかもどこで覚えたのか、そんなことを言い出す有り様だ。

「薪割りだって、ぼくがおっきくなるまでだって。ラーヴェがお肉とってくれれば、ぼく、弓の練習とかしなくていいのに。魚だってさ」
「あのなあ、何度も言わせるな。お前は竜帝だけど人間なの。天剣とか俺に頼らずに、ちゃんと自分のことは自分でできる大人になるんだよ」
「でもラーヴェ、なんにもしなかったら竜じゃなくて、ただの羽のはえた太った蛇になっちゃうよ?」
「お前、最近そういう意地の悪い言い回しをどこで覚えてくるんだよ、ほんと……」

 羽を動かしてハディスの手元を覗きこむ。ああ、肉に塩を揉み込む手つきもずいぶん慣れてきた。包丁を扱う手も、もうあぶなっかしくない。
 ――まだ、こんなに小さいのに。

「でも、ぼくがおとなになるまでは、手伝ってよね」
「……しょうがないからな」

 嬉しそうに笑ったハディスが、肉をまな板ごと差し出した。

「じゃあ天剣になって、これ一口サイズに切って」

 無邪気な子どもの願いごとに、理の神はにっこりと笑って諭す。

「断る、自分でやれ」


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#やり竜

サイト書き下ろし

小説



そういうわけで陛下の好きなお菓子はマフィンになりましたとさ。
ラーヴェ様、姿は見えないだけで物は動かせる(魔力でも本人?の力でも)から、できなくはない……向かないとは思うけど……。
最初は失敗したでしょうけど、毎年毎年試行回数重ねてうまくなってたんだろうなあ。
ふたりぼっちで、でも色々工夫してやりくりしてたんでしょうねえ。何せハディス5歳になるかならないかからだから、斧とか持って薪を割れない以上、天剣を……薪割りにも天剣を使うしか……!(ごくり)


どうしてこうなったか私にもわからないんですが、今なぜかちっちゃなハディスを書いておりましてそのせいでこうなった感じする。
ちっちゃいハディス、何も違和感なく書いてるだけなんですが、よくよく考えると正史本編関わらずどんどん「どうしてこれがあんなひねくれた性格に……?」と思ってしまう。まあなんか色々あったんだろ(雑)。
4歳ハディス、4歳リステアード、5歳ヴィッセル、6歳?7歳なアルノルト+マイナードが集合してる様とか書いてるともはや幼稚園。
13歳ルドガー(ロジャー)引率頑張れ。

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#やり竜

小ネタ

私はいいかげん、こうなるって決めてたことを書き始めてから「えっ……ひど……」とか気づくのやめるべき。決める前に気づいて!!書きながら気づいても手遅れだよ!!

アルノルトとマイナード、ハディスの実父としゃべれるかと思ったけど、年表いじっても4歳が限界でさすがに……!
ルドガー兄上えええぇぇぇぇ!!まだいますか!!いますよね出てきてくださいルドガー兄上!!おいくつですか!!??

#やり竜 #進捗

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実は今回カニスおじさんにこの辺の話まとめておいてもらった(つもり)なんですが、答えたほうが早そうなので。


ラーヴェ様が300年前の騒動で神格落として、300年寝てたからです(言い方ァ)
市井から出なかったとか帝都がどうこうではなく、ただラーヴェ様が目覚めたタイミングの問題です。
竜神=竜帝です。竜神ラーヴェの器(現し身)が竜帝です。
ラーヴェ様が神格落として消えてる(眠ってる)間は、絶対に竜帝は現れません。
ラーヴェ様が目覚めたとき、ラーヴェ皇族(竜神ラーヴェの血筋)から生まれるって感じです。

三代目からは器とラーヴェ様が分離したので、竜神の神格消失=竜帝の死とはならないんですが、生まれは同じです。
ただ竜帝がやらかすと神格を落として消えるのはラーヴェ様です。一方、竜神が消えても(神格を落とす=死んだわけではないのと、神と人間は違うという理から)器の竜帝まで引きずられて死んだりはしないです。
二代目竜帝は、完全に人間になっちゃった竜神ラーヴェ様でまだ人間の器と分離してないご本人なので、神格落とすと同時に死亡してます。

ちなみに二代目竜帝は辺境で生まれております。その辺境がハディスが子どもの頃いた辺境。ラーヴェ様は人間だった自分の故郷でハディスを育てていた、という話。

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#やり竜

小ネタ

ロレンスからハディスの実父へ逃げてみました。
もっとこう!!こいつ最低だなでも美しいクソ野郎に!!老若男女狂わせる美しい男にしたい!!
どうしてできないんだ文章力か語彙力か文体か!!??うあーーん頑張るぅ…。

#やり竜 #進捗

誕生日おめでとうメッセージをWaveboxからくださった方有り難うございます~~~!
みんな気にかけてくれるんですか今年1年は健康で!幸せな!1年にしたいです、本当に、心の底から…(うつろな眼差し)

明日の更新に向けてのおさらいです!!
7部未読勢は後回しで。


といっても5部運動会時の再掲ですが。
蒼竜学級名簿。ジル先生の評価つき!


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今回登場する子が誰かわかるかも、ということで。
金竜学級の名簿?
5部コミカライズが決まったら、参考資料として泣きながら作ります。

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リステアードの竜騎士団、ワルキューレ竜騎士団っていうんですが、あそこの面子の名前も一人くらいは考えないとそろそろ詰みそう…(遠い目)

#やり竜

小ネタ

アニメ化したらまず真っ先にぶっ叩かれるのはジェラルドだと思うけど、ジェラルドへの辛辣な罵声は、彼がジルに隠し通そうとした動機の証左になってしまうのが我ながら素敵な作りにできたと思ったりする。


やり竜の設定決めてた頃、婚約破棄系で「シスコン兄がブラコン妹を溺愛して婚約者をないがしろにしあげく婚約破棄、ヒロインに愛想を尽かされる」スタートをちらほら見かけてました。それをいいことに、よおしじゃあ俺はガチでやってやるぜ、こうだ!!と作ったらああなりました。

読者の皆さんは「そこまでやれとは言ってない」という気持ちだったと思う。
なんなら色んなネタバレきた今も「だからそこまでやれとは言ってない」と思ってるんじゃないか。

これが読者の期待を裏切る作家です!!
合掌。

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#やり竜

小ネタ


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